「きぜわしない」


「きぜわしない」の意味を説明するのは難しい。
周囲が騒々しい、とかうるさいときに使うようだ。
私に使われた実例で説明しよう。

ホテルの宴会で各人の小テーブルに食べ物が並べられたが、米飯がない。
おいしそうな刺身が食欲をそそる。
しかし、刺身は米飯といっしょでなければ食べられない。
米飯が出てくるのを待ったが、いつまで経っても出て来ない。
そこで仲居さんに「ご飯 持って来てください」と言ったら、
「味噌汁がまだできていない」と言う。
そして、私の周りにいた年配の女性が「きぜわしない」と言ったもんだ。
「ご飯 持って来てください」に「味噌汁がまだできていない」という返事は
会話がちぐはぐだ。 後で人の解説を聞いたところによると、ご飯は味噌汁と同時に出すことになっている、と言う。
「そんなこと知るか!米飯がなければ刺身が食べられないじゃないか。 味噌汁のことなんか言っていない。早く米飯を持って来い」と心の中で叫んだ。

またある人は「お酒を飲まない人は、ご飯が後で出て来るのはつらいね」と言う。
酒を飲む人はお酒を充分 飲んでから、最後に味噌汁でご飯を食べるのだそうだ。
だから、お酒を飲まない人は、がまんせよ、というわけだ。

しかし、お酒を飲まない人でこのことに抗議する人はいない。
お酒を飲む、飲まないは関係ない。「刺身とご飯」の問題だ。

「早くご飯を出してください」と言ったのは、長い間がまんを続けてきた後のことだ。
忘年会などでいつまで経ってもご飯が出て来ない。
最後まで出なかったこともある。それで、刺身を食べ残したことがある。
もったいない。
こんなことが何回もあった。それであるとき、
がまんの限界を超えたので、「早くご飯を出してください」と言ったのだ。