「と、ば、たら、なら」の文法


これらの使い分けは「条件の言い方」として、日本語教育で 重要な学習項目になっている。
しかし、この項目は、詳しく説明しようとすればするほど、分かりにくくなる。
そういうわけで、これをできるだけ簡単に説明してみようと思う。

説明を簡潔にするために、前項、後項とも「する」で統一することにする。
(「ば」の状態表現では「ある」を使う)。 形の作り方は既習のこととする。
後項が過去形のもの(「すると、した」など)は、やや複雑になるので、普通 初級では扱わない。

後項が現在形の場合

基本的意味
すると、する恒常的春になると、花が咲く。
すれば、する条件を強調するこの薬を飲めば、治ります。
したら、する偶然的、1回だけのこと彼に会ったら、頼んでみます。
するなら、する 相手の言ったことを受ける 買い物するなら、あの店がいいよ。
「と、ば、たら、なら」のいづれでも言える例、 例えば、「雨が降ると、出かけない」「雨が降れば、出かけない」 「雨が降ったら、出かけない」「雨が降るなら、出かけない」があるが、 その場合でも、それぞれ基本的意味のニュアンスは持っているものである。

後項が要求・依頼・意志・勧誘の表現の場合

要求・依頼の表現とは「しなさい」「してください」というものである。
意志・勧誘の表現とは「しましょう」というものである。
下の例では「してください」の場合を挙げるが、「しなさい」「しましょう」でも同じである。
この場合、「と、ば、たら、なら」の用法では文末制限がキーワードになる。
すると、してください。X 文末制限あり 
すれば、してください。X 文末制限あり 
あれば、してください。◯ 文末制限なしお金があれば、払ってください。
したら、してください。◯ 文末制限なし向こうに着いたら、連絡してください。
するなら、してください。◯ 文末制限なし 買い物するなら、そこへ行ってください。
「ば」では、前項が動作表現だったら、文末制限あり
      前項が状態表現だったら、文末制限なし
要求・依頼などの表現に「と」は使えない、というのは 例外のない確固たる規則であるから、記憶しておくこと。

後項が過去形の場合

備考
すると、した春になると、花が咲いた。そういうことが過去にあった
すれば、したこの薬を飲めば、治りました。そういうことが過去にあった
したら、した窓を開けたら、風が入って来た。 
するなら、した 買い物するなら、あの店がよかった。そういうことが過去にあった
上の例では「すると、する」全体に過去を表す「た」が かかっているものと解釈できる。
つまり、(すると、する)た という図式だ。 「ば、なら」の例も同じ。
「たら」の例はこういう図式にはならない。 これはきっかけを表すものである。
きっかけは「と」でも言える。窓を開けると、風が入って来た。
「たら」の文と「と」の文ではどう違うかというと、 基本的意味に立ち返って、 「たら」の文は偶然に窓を開けた、「と」の文は いつもしているように、というニュアンスになる。

発見の構文

角を曲がると、ポストがあります。
角を曲がったら、人が倒れていました。
きっかけの用法から発展した 「発見の構文」というのがある。
角を曲がらなくても、いつでもポストはあるはずだが、 「角を曲がると、ポストがある」という言い方をする。
これは、「角を曲がると、ポストがあるのが分かる」という きっかけの文から「のが分かる」を取り去ったものだ。 発見の構文の特徴は後件が状態表現だということだ。
状態表現とは述語が「ある、いる」という動詞、 (補助動詞の「ある、いる」でもよい)、形容詞,形容動詞、名詞+「だ」というものだ。
各自、例文を考えてみなさい。
これ以上述べると複雑になるので、ここらで止めておく。